読書嫌い、読書好き
二十歳過ぎまでのぼくは本当に読書が嫌いだった。
小学校5年生の時の読書感想文で、ほとんど ひらがな の低学年用の本で感想文を書いたら、何かの賞を取ってしまった。どの本を読んだのか、先生に詳細を聞かれた時の気まずさといったらなかった。
この経験がぼくの読書嫌いに拍車をかけることに。しかし、社会人になって転機が訪れる。ものすご~く尊敬していた会社の先輩が、ものすごい読書家だったのだ。
ものすご~く尊敬しているくらいたから「お前も読め!」なんて無理強いするはずもなく、ちょっとしたタイミングでさりげな~く、読書の効能を教えてくれた。ぼくがだんだんその気になってくると、「とにかく書店をブラブラ歩いてみて、ピピっときたものを手に取ってみればいいよ」なんて。
そうして初めて真面目に読書したのが轡田隆史さんの「考える力をつける本」。この出逢いがまた良かったんだと思う。先輩同様の優しい語り口でたくさんの気付きをもらった。
次に読んだのは、桂文珍さんの「落語的学問のすすめ」。この本がきっかけでぼくの読書は「娯楽」という位置付けになった。大学の講義をそのまま書籍にした内容は、どこを切り取っても「笑い」に満ちている。こんな授業があるのなら、大学へ行ってみたかったと素直に思ったものだ。(行ける学力があった、みたいになってますけど)
転職を繰り返すうちにその先輩とは疎遠になってしまったけれど、読書の世界へ導いてくれたことには、本当に感謝している。そして、いろいろな本に触れるようになって思うのは、あの頃の先輩は、ぼくのレベルに合わせて話をしていた、ということ。
今のぼくだったら少しは先輩の核心に迫れる会話が出来るだろうか。
2023 2 1