⭐「仕事ができる」とはどういうことか
楠木健 山口周 P216
~「常に機嫌よくして挨拶を欠かさない」~
「スキル」もいいけど「センス」を磨きましょうという主旨の書籍。
ここでは新社会人になった著者のお子さんへのアドバイスとして、仕事は具体的なノウハウより、まず挨拶や元気が大事、ってことを伝えたエピソードが語られている。
「挨拶もろくに出来ないけど、仕事の出来る人」もいるよね。でも周りの空気は常にどんよりしていて、職場のテンションは下がり気味。仕事である限りは会社が成長しないと意味はない。自分の仕事だけってのは、要は趣味の世界。あれっ、誰かのことを念頭に書いているような気がしてきた。
⭐「一人称単数」村上春樹 P99~P120
~僕もできればコーヒーが
一口飲みたかった。~
短編「ウィズ・ザ・ビートルズ」の一幕。
ちょっとした行き違いから、ガールフレンドのお兄さんと気まずい時間を過ごすことになってしまった主人公。このやりとりが何とも可笑しい。
彼女のお兄さんに芥川龍之介の「歯車」を朗読して欲しいと頼まれる主人公。朗読というのは大勢を相手にするイメージだけど、こちらは何だか子どもの読み聞かせみたい。それでいて文体は至って真面目なので、笑っちゃう。
その後、お兄さんの「記憶が途切れる」という体験談へと、話は意外な方向に。読んでいるぼくまでコーヒーが飲みたくなった。
この後は重い展開になるんだけどね。
村上さんの物語はいつだって丁寧で優しい。
2023 5 18