目指せ300up

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255 本の・少し

⭐「ミチクサ先生」 伊集院静 P150

 ~ この会話こそ、やがて日本の
   近代文学で重要な仕事をする
   二人の大切な時間だったのである ~

 歴史が苦手だ。織田信長豊臣秀吉徳川家康と順に天下を取ったのだから、信長と家康は生きていた年代がずっと離れていると思っていた。それくらい苦手だ。年表世代の弊害。
 明治前後に絞って、そのかわりあらゆるジャンルから歴史の勉強をやり直してみようと思っている今日この頃。

 そんなきっかけもあり、暖かみのある表紙に惹かれて「ミチクサ先生」を手に取った。
 夏目漱石正岡子規、有名人同士の交流が描かれている。豪快な子規と繊細な漱石が友情を育んでいく過程は読み応えがある。
 二人が同時代を生き、これだけの勉強家だったなんて初めて知った。

 「そんなことも知らんのか」の声には、どうもスミマセン。
 「そんなことは知りません」の声には、あなたもきっとハマります。
 
⭐「始まりの木」 夏川草介 P336

~「民俗学の出番だとはおもわんかね」~

 主人公の学生、藤崎千佳と一緒に民俗学を学びながら、ここまでたどり着いた読者に指導教官がズバッと投げかけるこの言葉が気持ちいい。カッコいい。
 ダメだダメだと嘆いていても何も変わらない。失われていく日本に光を取り戻すヒントはほんの少し目を凝らした先にある。「小説の枠」を越えた物語の続きは読者に委ねられている。
 ここに至ると指導教官の古屋神寺郎の毒舌も、読みはじめとは違った響きを持って聞こえてくるから不思議だね。

2024 1 27