リアル
作り話よりも良くできた事件。ある夏の出来事。
いまどきのガチャガチャ(ガチャポン)のクオリティには目を見張るものがある。ぼくのお気に入りはカブトムシ、クワガタのフィギュア。値段によってランクがあって、高いものほど、よりリアルに精巧に作られている。
一時期これにハマって、ずいぶんお金を使ってしまった。ぼくは外国のカブトムシ、クワガタには興味が無いので、好きな国産のものをコレクションするのに苦労した。おそらく、今の子どもたちは発想が逆なのだろうけど、どちらにしても業者が儲かる仕組みに変わりはない。
こうして苦労の末 揃えたカブトムシ、オオクワガタ、ミヤマクワガタ、ノコギリクワガタ、ヒラタクワガタは、玄関の右手 下駄箱の上に並べてあった。(ガンダムとザクもいるよ)
これらのコレクションはよく子どもにグチャグチャにされるので、嫁はあまりいい顔をしない。
一方、玄関の左側の棚の上では、本物のカブトムシを飼育。もともと虫が苦手な嫁は、あまりいい顔をしない。
ある日このカブトムシが脱走を試みる。玄関から聞こえてきた嫁の悲鳴に、「ゴキブリでも出たか?」と駆けつけると、片付けようとしていたコレクションの中に、本物が紛れ込んでいたというオチ。
リアル過ぎて仲間と見間違えたんだろうな、なんて。
庭の片隅では、今年も既にカブトムシの幼虫を囲ってある。
2023 4 14