245 ひとりごと

　　　　　　　　夢の国

　我が家は年明け早々、ディズニーへ行く予定。
　まだ10月だった。何気なく「こうこう、こういう日程で組めば行けないこともないよねー」と話したところ、翌日には嫁が会場、宿、新幹線と全ての予約を終えていた。ぼくの気が変わらないうちに、ということらしい。

　もう十数年前になってしまったが、新婚旅行がディズニーランドだった。開演時間に扉が開くと、猛ダッシュでお目当てのアトラクションを目指す嫁。あの はしゃぎぶりを後ろから見て、「ああ、来た甲斐があった。毎年は厳しくても定期的に来よう」(静岡県西部在住)と誓いはしたものの.....

　ぼく自身は苦手なディズニー。アトラクション酔いで医務室にお世話になった経験まである。医務室はゲストの夢を壊さないように、建物の奥の目立たない場所にひっそりと存在していた。パーク内の混雑ぶりに比例していた患者の数には驚いた。親切な診察を受けながら、「アトラクション酔いくらいですいません」と言いたかった。

　そして、子供が生まれてからは、嫁自身が忙しくなり、ぼくはぼくで「せっかく一緒に連れて行っても、まだ分からないし、記憶にも残らないでしょ」と子供を盾にガードを固めて、ますますディズニーから遠ざかっていた。

　そんな娘も年明けには5歳の誕生日を迎える。
　会場の扉が開いて、はしゃぎながら入場するであろう娘に、十数年前の嫁の姿を重ね合わせるのが、ぼくの夢。

2023 12 18