目指せ300up

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168 ひとりごと

         破顔

 前回は1991年 東京世界陸上での、カール・ルイスの活躍について、熱く語ってしまった。この大会ではルイスにまつわるもうひとつの物語がある。  
 ただし、その結末は...

 男子走り幅跳び決勝。ルイスはこの種目の連勝記録を65(10年間無敗)まで伸ばしていて、この大会でも優勝候補の筆頭だった。
 ライバルは米国のマイク・パウエル。彼も実力者ながらルイスの壁は高く、苦戦を強いられることになる。
 好調ルイスは、1回目の試技から着々と記録を伸ばし、4回目で追い風参考ながら従来の世界記録を上回る8m91。
 一方のパウエル。こちらも4回目に9m近い改心のジャンプを見せるものの惜しくもファウル。踏み切り板の痕跡を確認して悔しがるパウエル。万事休すか、波乱の予兆か。
 パウエルの5回目。まあここまで前フリがくどいと結果は明白だけど(苦笑)。
 パウエルは舞った。
 ぼくがいまだに忘れられないのがパウエルの表情の移り変わり。跳躍直後の怒ったブルドックのような表情(あくまで表情です)。ファウルではなく、風も公認。ルイスの記録を越えたのか、期待と不安が入り交じった複雑な表情。そして世界新記録(8m95)のアナウンス。
 破顔。
 両手を突き上げて走り回る姿が、今でも目に焼き付いている。

 そして二人の対決が生んだこの世界記録は、30年以上経った今も破られていない。
2023 3 22