「嫌われた監督」 鈴木忠平 P431~P455
この本のクライマックスは落合監督退任のニュースが発表された2011年9月22日からリーグ優勝を決めた10月18日にかけての約1ヶ月に集約される。
前回、落合さんに対して「教祖様」なんて失礼な物言いをしてしまった。失礼ついでにもうひとつ書いてしまうと、ぼくは宗教に対してこんな乱暴なことを考えている。宗教の教えはヒント、脇役で、信仰というのは人それぞれに違っていい。自分にとっての教祖は自分であるべきなのではないかと。
この期間の一連の騒動、チームの快進撃の中、選手たちに芽生えた自立心は、ぼくの乱暴な価値観とシンクロした。
落合さんの目指した野球は落合さんの想定を上回る形で結実した。
8年という数字が長かったのか、短かったのか。ぼくは勿論、もっとオレ流ドラゴンズを見ていたかった。チームが成熟するのに必要な数字が8年だったのかもしれない。しかし、この本を通して知った監督業の過酷さを思うと、本当は4年くらいが限界だと思う。4年やって4年休んでまた4年。もしその周期でいったら、日本一になった年に辞めていて、現在は第三次落合政権の真っ最中。悪くない夢物語。
今年ドラゴンズはこの作品においてキープレーヤーのひとりだった立浪さんが初めて指揮を取る。果たして落合イズムの継承はあるのか。球春を楽しみに待ちたい。
2022 3 3