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61 本の・少し

  「嫌われた監督」 鈴木忠平 P180~229

 落合博光は中日をどう変えたのか、という物語。
 タイトルにあるとおり、落合さんのことが嫌い、という人は世の中にけっこういるらしい。逆に落合さんが好きな人は、ぼくのように「とことん好き」、「信者」という人が大多数だと思うのだ。
 しかし悲しいかな、信者が教祖様のことをほとんど理解していないのは、世の常。落合さんに関する書籍を読む度にそのことを思い知らされる。

 今回の著書でも球界の歴史に強く刻まれた「日本シリーズ完全試合リレー」の経緯が書かれている。
 1つの決断にこんなにも複雑な要素が絡んでいたなんて。落合監督の中では、このシチュエーションでこの采配をする明確な理由があった。
 情と非情は対極ではなく、情を知っているものだけが非情になれる。

 落合さんにはいつも冷徹なイメージがつきまとうけれど、このエピソードを読む限り落合さんほど情緒的な人はいない。日本人らしいと言い換えてもいい。つまり落合さんが孤立していくように見えるのは、ぼくたちの側が日本人らしさを失っているゆえのギャップなのではないかと。世代で片付けてしまうのも違うような気がするし。

 「お前ら人生に、もっと悩んで、もっとぶつかって、もっと努力してみろ、そうすればオレにはなれなくても、少しはオレのことを理解できるから」

 そんな声がボソッと聞こえてきそうだ。
2022 2 24