☆「居酒屋ゆうれい」山口恵以子 P48
~米屋は三十年前になくなったんだよ~
さだまさしさんの「銀河食堂の夜」と立川談四楼さんの「恋文横丁八祥亭」と並んでぼくの中で勝手に飲み屋三部作。
一人で居酒屋「米屋」を切り盛りする秋穂さんを主人公にした連作短編集の第一話。酒を肴にちょっとしたエピソードが展開されていく。
こういう小説は食レポ?!も楽しみのひとつ。どの料理も美味しそうに聞こえるんだよ。TVで活躍中の しまさん の名前もさらっと登場。
ただ、ちょっとありきたりかな、なんて思っていたら、終盤で早速騙される。タイトルに「ゆうれい」ってついてるのにね。小説は騙されてナンボだからいいの。まだまだ「起承転結」の「起」。二話以降この設定が面白さを加速させていく予感。
~われわれはそれに近づくか、遠ざかるか、自分の態度決定によってその書物を変化させていくことができるだけである。~
~これは自由を説いた書物なのである。これは情熱を説いた書物なのである。~
自慢ではないが、ぼくはまだ三島由紀夫作品を読んだことがない。自衛隊で切腹自殺をした恐そうな人、というイメージしかなかった。
自慢じゃないが、過去に「葉隠」に関する本を読んで、難解すぎて挫折した経験がある。
今回、この「葉隠入門」を読みはじめて、「これが三島由紀夫の文体か」と、グッと引き込まれた。
「葉隠」が書かせたものなのか、三島さんが元々持っている世界観なのか、他の三島作品にトライして、確かめてみる必要があるぞと。
無知なうえ、上から目線も甚だしいと自覚しつつ、書いちゃった。
2023 6 14