「私はいったい、何と闘っているのか」
つぶやきシロー
まだ読み始めたばかり。でもハマってしまう予感。
これを読んだ何割かの人は「これ、俺のことじゃね?」と思うはず。
主人公は日常生活と自分の頭の中を行ったり来たり。家庭と仕事に程よく翻弄される毎日。
きっと伏線もどんでん返しもなくヌルっと終わるだろうけど、それでいい。
うろ覚えだけど、ダウンタウンが脚光を浴びはじめたとき、斬新なスタイルが称賛された一方、その場の思い付きでやっているように見えた漫才を、「これなら俺にもできる」と一部の人たちが勘違いしたらしい。
この小説のさわりを読んで「俺でも書ける」と思ったら、大間違い。笑いのセンスと書くテクニック、そして絶妙なさじ加減があってこその面白さだと思う。つぶやきシローさんのキャラクターを一番活かしてくれる場が、実は小説だったという。
私たちは2度だまされる。
2022 6 11