かいぼり
「かいぼり」という言葉は自分がまだ小さい子どもの時に教えてもらった。その時の出来事と言葉の響きの新鮮さが、セットで今も記憶に残っている。
「かいぼり」とは。分かりやすいのはテレビ番組の「池の水ぜんぶ抜く」。辞書では「保全管理のために池や沼の水をくみ出して泥をさらい、魚などの生物を獲り、水路を天日に干すこと」とある。
小学生のとき、魚を捕りに親父の車で出掛けた。そこで遭遇したのが「かいぼりおじさん」。農作業をしていたというよりも近所の名物おじさん的なキャラクターで、バケツを使って豪快にため池から水を掻き出していた。その周りで、子どもたちが打ち上げられたフナやらドジョウやらを大喜びで捕まえている。ぼくもその輪に入りたいんだけど、よそ者なだけに気が引けた。
そこへヒョイっと飛んできたのがヤモリ。みんな気持ち悪がって近寄らないところを、ぼくは嬉々として捕獲。
帰りの車で「お前変わってるなぁ」と親父に呆れられ、家に帰ったらお袋に嫌~な顔をされたっけ。
2022 5 31