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35 本の・少し

   「生き物の死にざま」 稲垣栄洋 

 全てにおいて美しい本。内容も、誠実な文体も、挿し絵も。アマゾンであれだけたくさんのレビューが寄せられているのもうなずける。
 生き物の最期を繊細に丁寧に描いた作品。
 セミは寿命のほとんどを幼虫で過ごす、とか、メスのタコは命を懸けて卵を守り続ける、とか、カマキリのメスはオスを食べてしまう、とか、元々知っていたことは表層の知識でしかなく、そこを深掘りすることでこんなにも瑞々しい世界を覗くことができるとは。
 感動的というより「自分が人間でいるのが恥ずかしい」というのが正直な感想。
 好きなものを紹介すると、つい大げさは表現ばかりになってしまうけど、ずっと大事にしたい本。